遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を決める話し合いのことです。被相続人が生前に遺言書を残していれば、原則、遺言書に書かれた内容に従い、受遺者または遺産を「相続させる」と指定された相続人が遺産を相続することになります。遺言書がなかった場合、被相続人の財産は、死亡した瞬間に法定相続人全員が法定相続分の割合で共有により取得した、と法的にはみなされます。その分け方を決めるのが遺産分割協議です。もし、遺産分割協議(話し合い)がまとまらなかったり、話し合いをせず放置している状態が続くと、そのうちに相続人自身が亡くなることもあります。その場合は、相続人としての地位はさらにその相続人に承継されます。一般には、当事者が増えると話し合いも複雑化しますので、放置せず早期に遺産分割協議を行い、合意を成立させることが重要です。合意が成立した際に作成するのが遺産分割協議書です。
Q&A
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遺産分割協議とは何ですか?
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ROA診断に必要な書類は何ですか?
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固定資産税の納税通知書と、賃料収入のある不動産がある場合にはその収入・経費の明細のわかる確定申告書などの書類、借入金がある場合は、借入金の月々の返済額や現在の残債額、返済期間のわかる借入金償還表が必要になります。
それらの書類に加えて、担当者が位置関係を把握するための地図や登記情報、路線価図、倍率表などを取得し、現地の確認を行ってROA診断を行います。
・固定資産税納税通知書
・直近の確定申告書
・借入金償還表
・アパート間取り図、管理会社賃料明細等
・現地案内図
・登記情報
・倍率表
・その他資産情報
※お客様にいただく必要のある書類はこちらのROA診断案内書もご参照ください。
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不動産の相続税評価額の計算方法を教えてください。
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土地の相続税評価額の計算方法は、路線価のある土地かどうかで異なります。 路線価のある土地の場合は路線価方式で、路線価のない土地の場合は倍率方式で、以下の数式で計算します。
路線価のある土地(路線価方式)
相続税評価額=路線価×面積(㎡)
路線価のない土地(倍率方式)
相続税評価額=固定資産税評価額×倍率(倍率表より)
建物の相続税評価額の計算は、シンプルで固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。
建物の相続税評価額=固定資産税評価額×1.0
以上は土地、建物を自己利用している場合です。
土地、建物を賃貸している場合には、借地権割合、借家件割合分の評価を減額することが
できます。
<賃貸不動産の場合>
貸地評価=土地の相続税評価額×(1-借地権割合)
貸家評価=建物の相続税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
貸家建付地評価=
土地の相続税評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
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実勢価格とは何ですか?
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実際の取引が成立する価格のこと(不動産の時価)。
売り手と買い手の間で需要と供給が釣り合う価格を指す。
1.取引が行われた場合・・・その取引金額が実勢価格。
⇒取引事例比較式査定
2.取引がない場合・・・周辺の取引事例や公的データ
(公示価格、固定資産税評価額、路線価など)から推定。
⇒路線価式査定、原価式査定
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土地の公的な価格はいつ出るんですか?
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公示価格 基準地価 路線価 固定資産税評価額 所管 国土交通省 都道府県 国税庁 市町村 概要 都市計画区域を中心に約2万6,000地点を評価。民間取引や公共用地取得の目安 約2万2,000地点を評価。公示価格と一部地点が重なり半年間の地価変動の目安 相続税や贈与税を計算するために道路ごとに付ける公示価格の80%程度 市町村が決める「固定資産税路線価」などから計算。公示価格の70%程度 時点 毎年1月1日 毎年7年1日 毎年1月1日 3年ごとの1月1日 公表時期 3月下旬 9月 7月上旬 4月ごろ
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相続放棄をするためにはどうしたらいいですか?
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相続放棄は、3カ月以内に家庭裁判所に申述をしなければなりません。また、もう一つの注意点としては、相続財産の一部でも処分してしまっていると、相続した事を承認(単純承認)したとみなされて相続放棄ができなくなります。例えば、相続登記(不動産の名義変更)をすると相続放棄はできません。処分には相続財産の売買・贈与など法律上の処分行為だけでなく、損壊・破損など事実上の処分行為も
含まれます。
相続放棄をしたい場合は、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所で申述が受理されなければいけません。必ずしも被相続人が亡くなったときからではなく、相続人が被相続人が亡くなったことと、自分に相続権があることを知ったときから3ヵ月です。事情がある場合は、この期間を延ばしてもらうこともできます。期間内であってもいったん相続放棄の申述が受理されると、詐欺・強迫等による場合でない限り後から取り消すことはできないため、選択する際には熟慮が必要です。 なお、相続放棄をするとその相続人は初めから「相続人とならなかったものとみなされる」ため、その子や孫が代襲相続することもできない点は注意が必要です。
手続きの概略としては、申述書を戸籍謄本などの添付書類とともに被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。共同相続人の全員が共同して行う限定承認とは違い、相続放棄は各相続人が単独で申請可能です。先順位の相続人が全員相続放棄することにより、遡って次順位の者が相続人になることがありますので(例:子が全員相続放棄し、親が相続人になる)、注意が必要です。
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公正証書遺言に必要な書類は何ですか?
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1.遺言者本人の本人確認資料
2.遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
3.財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票(法人の場合には資格証明書)
4.財産の中に不動産がある場合には、その登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書
なお、遺言者が証人を連れて行く場合は、証人の氏名、住所、生年月日、職業が必要になります。証人を同行できない場合は、公証役場で手配してもらうこともできます(有料です)。
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親がなくなった場合は何からすればいいんでしょうか?
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被相続人が死亡したら、7日以内に医師による死亡診断書を添えて市町村役場に死亡届を提出します。その後相続人の確定と財産の確定をします。戸籍から相続人を確認し、通帳や口座から財産を確定します。口座が見つけれなければ、そのままになってしまいます。相続放棄や限定承認をする場合は期限があり、亡くなってから3か月以内に手続きをしなければいけません。
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所有権放棄をしたい場合はどうしたらいいですか?
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土地の所有者が亡くなり相続が発生した場合、相続人全員が相続放棄をすると土地の所有者はいなくなります。民法上「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」と規定されています。
ただし相続放棄をしたらその時点から自動的にその土地が国の財産となり、責任から解放されるわけではない点に注意が必要です。
相続放棄をした後も、その放棄によって相続人となった者が管理を始めるころができるまで、管理義務は
継続します。
全相続人が相続放棄をした場合には、利害関係人または検察官により請求がなされれば、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任し、相続財産管理人が次の管理者となります。 これによってようやく、土地の管理義務から解放されることに
なります。
相続放棄手続き及びこの相続財産管理人選任の申し立てには、数十万円以上の費用が必要と
なります。
現実的にはこの負担が厳しいため、結局相続するしかなく、固定資産税の支払いと維持管理を続ける人が多くなっています。
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貸付金は相続の時にどうなりますか?
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回収できるか、できないか関係なく、プラスの資産として相続の対象になります。貸付金は元本とまだ受け取っていない利息の額で評価します。生前に対策をすることが重要になります。
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贈与の契約書は自分たちで作成していいですか?
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法的には規制がないのでご自身で作成されても結構です。渡した方と受け取った方がわかるようにし、いつ贈与するか?誰に贈与するか?何を贈与するか?贈与する条件は?贈与する方法は?ということを明確にしておきましょう。
110万円の非課税枠を超えない範囲であっても契約書は残したほうがいいです。税務調査が入った場合に、ご自身が行った贈与が、相互の合意のもとに結ばれた契約であるということを証明することができます。
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贈与は終わっているのですが契約書を作成は
もう遅いでしょうか?-
契約書は絶対ではないですが、形跡があった方が良いです。口座や印鑑を子供に渡していない場合は贈与にりません。管理も子供ではないといけません。たとえ子供が管理している状態でも贈与契約書を作った方が良いです。
110万円の非課税枠を超えない範囲であっても契約書は残したほうがいいです。税務調査が入った場合に、ご自身が行った贈与が、相互の合意のもとに結ばれた契約であるということを証明することができます。
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信託の受託者が先に亡くなった場合はどうすればいいんですか?
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まず、信託設定の際の信託契約や遺言に次順位受託者の指定、または選任方法の指定があればそれに従います。指定がなされていない場合には、委託者と受益者の合意により選任します。更に、合意に至らないなどの事情で必要があるときは、利害関係人が裁判所に新受託者の選任申立てをすることもできます。手続がなされず、新受託者が就任せずに1年経過すると信託は終了します。
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認知症は誰が判断するのでしょうか?
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認知症の診断は医師が行います。
ただし、例えば不動産取引においては、不動産会社と司法書士が本人確認法にもとづいて本人の意思能力を確認します。場合によっては医師から認知症の診断が出ていなくても、意思能力が確認できず取引できない場合が
あります。
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アパートの借金は残したほうがいいですか?
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節税には残したほうが良いですが、収益を見ながら繰り上げや売却も考えることも必要です。
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相続放棄をしたら法定相続から外れ、基礎控除額が減ってしまうのでしょうか?
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相続人の中で相続放棄をしたものがいても基礎控除額は変わりません。仮に法定相続人全員が相続放棄をした場合でも基礎控除額や相続税の総額の計算方法は
変わりません。
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相続人の中に行方不明者がいる場合はどうしたら
いいでしょうか?-
相続人の中に行方不明者がいる場合は、遺産分割協議を行うことができません。
遺産分割協議を進めるには、家庭裁判所に「不在者財産管理人選任申立て」をして、選任された不在者財産管理人が行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加し、遺産分割を進める必要が
あります。
そのほか、「失踪宣告」を得て相続人が死亡したこととみなす方法もあります。失踪宣告とは,生死不明の者に対して,法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。
不在者(従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者)につき、その生死が7年間明らかでないとき(普通失踪)、又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪)、申立てにより、家庭裁判所は、失踪宣告を行います。失踪宣告を受けた者は、普通失踪の場合7年間の期間が満了したときに、危難失踪の場合危難が去ったときに、死亡したものとみなされます。
失踪宣告を受けた相続人が被相続人の相続開始時にすでに死亡していたものとみなされる場合、その子がいれば代襲相続人となります。
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認知症になった後なんですが、物件を売却したい場合どうすればいいでしょうか。
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不動産取引については、本人確認法によって不動産会社と司法書士が本人の意思確認し判断しますので、ご本人の意思確認が出来ない場合は、物件の売却は相続がおきて所有者が変わるまでできません。
ただし、成年後見人をたてることは可能です。成年後見人をたて、家庭裁判所から売却の許可が出れば売却は可能です。
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法定後見制度を使う場合に、全く知らない人が後見人になることはあるんですか?
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あります。
決めるのは家庭裁判所です。法定後見制度とは、認知症や知的障害などで判断能力がない、もしくは不十分な人を、家庭裁判所に選ばれた親族や弁護士などが支援する制度です。
成年後見人を選任する時の注意点は利益相反しないようにすることです。たとえば、遺産分割協議のために成年後見人を選任させるのであれば対象相続とは関係ない立場にいる親族や、まったくの第三者を選任してもらわなければなりません。
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亡くなる直前に同居することになった相続人に自宅を相続させた場合は小規模宅地の特例は適用されるのでしょうか?
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相続開始の直前からの同居であっても、相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していることを要件に小規模宅地の特例は適用されます。
ただし、同居というのは「共に起居」している必要があります。起居とは日常生活のことを指しますが、構造上1つの建物で共に日常生活を送っていることがすなわち同居、ということになります。「平日は自分の家で暮らして週末のみ親が暮らす実家に帰って泊まり込みで面倒を見る」というようなケースは「共に起居」している状態とは言えないので、同居ではありません。
また注意しなくてはならないのは相続人と被相続人が二世帯住宅に居住している場合です。二世帯住宅にも玄関は2つあって内部で行き来できるようになっているもの、行き来できないものなど様々な形態がありますが、建物が区分所有されていなければ仮にそれぞれが独立した二世帯住宅であっても同居と見なされることになっています。
親の居住部分が親名義、子の居住部分が子名義、のように区分所有されている場合は同居とは見なされず、親名義の居住部分を相続する場合に小規模宅地の特例は適用されません。
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農地の贈与を進めるにあたって、手続きの内容と留意点を教えてください。
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農地の贈与(生前贈与及び死因贈与を含む)により所有権移転をする場合、権利を取得する者(受贈者)が農地法第3条に基づき原則として農業委員会の許可を受けなければなりません。 また、宅地等への転用をするために権利を設定または移転しようとする場合は、⑴農地の権利を取得する者(転用事業者)と、⑵ ⑴のために権利を設定又は移転しようとする者が連署で申請し農地法第5条に基づく許可を受ける必要が
あります。
例えば、相続税節税のために、父親名義の畑の贈与を受けその土地に息子名義のアパートを建築する場合は、転用事業者である息子と、権利を移転しようとするその父親が連署で申請し許可を取得する必要があるという事です。 手続き方法や必要書類、また許可要件等は各市町村により異なりますので、指定市町村の農業委員会までお問い合わせください。
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民法の相続編改正に伴う「法務局における自筆証書遺言の保管制度」について教えてください。
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法務局における遺言書の保管等に関する法律が2018年7月に成立、公布され、2020年7月10日に施行されることが決まりました。対象となる遺言書は自筆証書遺言に係る遺言書です。
これにより、遺言書を紛失や改ざんの恐れ無く安全に法務局(遺言書保管所)で保管することが可能になります。また遺言者の死亡後に、相続人や受贈者らは、全国にある法務局(遺言書保管所)において、遺言書が保管されているかどうかを調べること(「遺言書保管事実証明書」の交付請求)、遺言書の写しの交付を請求すること(「遺言書情報証明書」の交付請求)ができ、また遺言書を保管している法務局(遺言書保管所)において遺言書を閲覧することが出来ます。
法務局(遺言書保管所)に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認が不要になる他、遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付がされると、遺言書保管官は、他の相続人等に対し遺言書を保管している旨を通知します。遺言書の保管申請は、遺言者の住所地もしくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局(遺言書保管所)の遺言書保管官に対してすることが出来ます。尚、遺言書保管所の指定及び具体的な管轄、そして遺言書の具体的な様式、また保管の申請に係る手数料等については施行日(2020年7月10日)までに定められることに
なります。
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二次相続とは何ですか。
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二次相続とは、最初の相続(一次相続)で残された配偶者の死亡時に起こる相続のことを言います。
例えば、両親のうち父が先に死亡した場合、父の死亡時に発生する相続が一次相続、そしてその次に母が死亡した際に発生するのが二次相続です。一次相続から二次相続までが10年以内の場合は、相続人の負担を軽減する制度として「相次相続控除」というものがあり、後の相続における相続税額から前の相続における相続税の一部を控除することができます。しかしながら、一次相続時は「配偶者の税額控除」により家族全体に係る相続税額を大きく軽減できるものの、二次相続では大きな相続税の軽減措置が無いため、家族全体に係る相続税額が大きくなる可能性があります。
一次相続だけではなく二次相続まで考えた相続対策を専門家に相談することをお勧めします。
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みなし相続財産とは何ですか。
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みなし相続財産とは、被相続人が相続開始時に所有していた財産ではないが、被相続人の死亡を原因として支払われるもので、実質的には被相続人が相続開始時に所有していた財産と同一視して相続税の課税対象となるものをいいます。具体的には、生命保険金、死亡退職金、功労金、弔慰金、個人年金等を指し、各々課税価格の計算方法や非課税限度額の計算方法等が決まっています。みなし相続財産として代表的な「生命保険金」や「退職金」の非課税枠は下記のとおりです。
「500万円×法定相続人数×その相続人の取得した保険金等の合計額/相続人全員の取得した保険金等の合計額」
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相続登記や遺言書作成を自分ですることは可能ですか。
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相続登記も遺言書作成もご自身で行う事が
可能です。
相続登記は、登記申請書に遺言書や作成した遺産分割協議書、必要書類を添えて管轄の法務局で申請して行うことができます。ただし、相続人全員の押印や戸籍の収集等多くの手間と時間を要するため専門の司法書士にご依頼されることをお勧めします。
遺言書は、代表的なものに「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、いずれも遺したい内容については自分で考えて作成することが可能です。両者はその作成形式が異なり、「自筆証書遺言」は原則全てを自書により作成するのに対し、「公正証書遺言」は、公証役場で公証人によって法律的な不備の有無を確認したうえで公正証書として文面化され、保管されます。「自筆証書遺言」の場合には、書き方に不備がある場合などは効力が生じないものとなってしまうため、注意して作成することが必要です。なお、どちらの場合も、遺す内容が本当に自身の思いを叶えるためのものになっているかどうかは、財産内容の分析等をしたうえで考える必要があります。
そういった意味で、相続財産の遺し方を正しくアドバイスできる専門家に相談のうえ作成内容を検討することをお勧めします。
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不良不動産に関して、現在境界標の無い土地を持っていますが、対処した方が良いでしょうか?
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境界確認行為(確定測量)という隣接地所有者間の合意を契約行為として行い、そのうえで「公法上の境界」として境界点を明示するものが境界標です。仮に確定測量図や地積測量図があっても、現地に境界標が無ければどこからどこまでが自分の土地であると第三者に主張することが出来ず、隣地との争いや土地を売却出来ないことの原因となりますので、土地家屋調査士に依頼して復元測量もしくは確定測量を行い、境界を明確にすることをお勧めします。
地積測量図があれば、境界標が何かの原因により移動、亡失、破損等により不明になった場合でもそれを元に復元することが出来るので安心です。
尚、復元測量や確定測量を行い、地積が登記上の地積から規定値より増減している場合は、新たに地積測量図を作成し地積更正登記という登記を申請しましょう(土地家屋調査士が行います)。
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ゴルフ会員権や有価証券、書画や貴金属等の相続税評価方法を教えてください。
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◆ゴルフ会員権は、
①株主でなければ会員となれない会員権(株式制)
②株主であり、預託金を払わなければ会員となれない会員権(株式預託金並存制)
③預託金を支払わなければ、会員となれない会員権(預託金制)
ゴルフ会員権は、この3つの形態で区分され、更に取引相場のある会員権と無い会員権に分かれますが、ゴルフ会員権のほとんどが取引相場のあるものと考えて構いません。取引価格の70%相当額が評価額となります。 尚、プレー権のみの会員権の場合は、評価しないことになっています。
◆自社株
※自社株の相続税評価は、専門的要素が多く難しいため、税理士に依頼しましょう。
上場株式と非上場株式は評価方法が異なります。
<上場株式>
下記の①~④のうち最も低い価格で評価します。
①被相続人が死亡した日の終値
②被相続人が死亡した月の、毎日の終値の月間平均額
③被相続人が死亡した月の、前月の毎日の終値の月間平均額
④被相続人が死亡した月の、前々月の毎日の終値の月間平均額
尚、課税時期に最終価格が無い場合やその株式に権利落などがある場合には、一定の修正をすることになっています。 以上が原則です。
負担付贈与や個人間の対価を伴う取引で取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価します。
※株式を売却したときは、譲渡所得として税金がかかります。株式の種類によって課税方法が異なりますのでご注意ください。
<非上場株式>
取引相場の無い株式(「上場株式」及び「気配相場等のある株式」以外の株式をいう)は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、それぞれ「原則的評価方式」又は「特例的な評価方式の配当還元方式」によって評価します。
「原則的評価方式」
評価する株式を発行した会社を下記で説明する会社規模の判定により「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式」のいずれかで評価する方式です。
「特例的な評価方式」
取引相場のない株式は、原則として原則的評価方式により評価しますが、同族株主等以外の株主が取得した株式についてはその株式の発行会社の規模に関わらず「特例的な評価方式の配当還元方式」で評価します。一般的に議決権割合が少なく、また会社に対する経営支配権のない株主は、会社経営には参画せず単に配当金を期待して株式所有しているため、この方式がとられています。
具体的な評価方法決定までの流れは、①株主の判定②会社規模の判定③特定会社等の判定④評価方法の決定の4ステップで行います。◆書画、骨とう品
これらは、国税庁の「財産評価基本通達」で評価方法が決まっています。そして、A、被相続人が販売業者で販売目的で所有していた場合 B、販売業者以外が所有する場合の2つの区分で評価します。Aの場合、商品の種類によって区分されていますが、所得税や法人税で採用されている棚卸し資産の評価額を用いることが可能であり、多いです。つまり、帳簿価額=評価額という事です。一方でBの場合、売買価額もしくは精通者意見価額(プロの鑑定家による評価)によって評価することが決まっています。素人が勝手に判断したとみなされた場合、税務署に認めてもらえません。 誰に鑑定してもらえばいいか分からない場合は、税務署に相談することをお勧めします。
◆宝石 宝石
上記の「財産評価基本通達」で具体的な評価方法が明記されていません。一般的には、一般財産(機械、自動車、家財道具等)に関する規定にならい、実際の取引価格や鑑定結果をもとに評価することになっています。
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代襲相続とは何ですか?
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代襲相続とは、相続人となるべき者が①被相続人の前に死亡②相続欠格③相続廃除の3つの原因のいずれかにより相続権を失う場合に、その者の子がその者の代わりに相続人になることをいいます。尚、代襲相続する者を「代襲相続人」、代襲相続される者を「被代襲者」といい、相続放棄をした者には、代襲相続は生じないため、その者の子には代襲相続権がありません。代襲相続が生じる者は、①被相続人の子と②兄弟姉妹です。
①第1順位である子の代襲相続は、被相続人の孫や曾孫に無制限に引き継がれます。一方で、②第3順位である兄弟姉妹の代襲相続は、その者の子に限り生じますので被相続人の甥や姪までしか認められていません。
尚、配偶者や直系尊属について代襲相続は認められていません。
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遺留分減殺請求とは何ですか?また、具体的にどのように請求したら良いでしょうか?
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相続人の遺留分を侵害して行われた遺贈や贈与、相続分の指定は当然に無効とはなりませんが、相続開始後に相続人が受け継いだ相続財産が自己の遺留分に満たないとき、その遺留分の額に達するまで遺留分を侵害する遺贈や贈与の効力を否認することが出来ます。これが遺留分減殺請求で、遺留分権利者が行使することのできる権利です(民法1031条)。また、遺留分権利者だけでなく、その相続人や遺留分権利者から相続分を譲り受けた承継人も行使することが出来ます。尚、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間これを行使しなかったときは時効により消滅します(消滅時効)。また、このような事情を知らなかったとしても、相続開始の時から10年を経過したときは権利が消滅します(除斥期間)。遺留分減殺請求を行うにあたっては、少なくとも相続人の人数とだれが相続人か、そして相続財産を把握し、合わせて各相続人の相続分とその遺留分を把握する必要があります。そのうえで、遺留分侵害者に対して請求をすることになります。請求の手続きは、法律上特別な方法が求められてはいませんが、遺留分権利者と相手方の間で交渉するのが一般的です。通知方法は、消滅時効や除斥期間にも関係するため口頭ではなく内容証明郵便で行いましょう。請求書の郵送後、相手方と交渉し相互の合意が得られれば和解書もしくは合意書を作成し可能であれば公証役場で公正証書にすると後の争いを防ぐために有効です。裁判外の交渉で合意が得られない場合は、裁判手続きを通じての請求を行う事になります。これを「遺留分減殺による物件返還調停」と言い、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に調停申立書を提出し申立てをすることによって開始されます。
なお、2019年7月1日施行の民法相続法改正により、遺留分減殺請求権を、物権的請求権ではなく、侵害額に相当する金銭債権の請求権とする抜本的改正がされます。
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相続登記を何代にもわたってしていなかった土地の時効取得は可能でしょうか?
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所有権の時効取得については「①20年間、②所有の意思をもって、③平穏且つ公然と④他人の物を占有していること」を要件として求められており、これらを満たさない限り時効取得することはできません。相続登記を何代にもわたってしていなかった土地で、先祖代々その土地を使用し自分が父親から受け継いだと思い込み固定資産税を納めていたとしても、もし兄弟姉妹がいてその土地の分割協議が終わっていない場合であれば、「兄弟姉妹にも土地を相続する権利があると知っていたはず」とみなされ時効取得することは出来ません。
よって、相続人が複数おり、遺言書がない場合の財産に関しては時効取得するのは難しいといえます。
尚、時効取得については、状況によって上記の4つの要件を満たすか否か判断するのが難しいため、専門家に相談することをお勧めします。
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信託の監督人とは何をする人ですか。また、必ず監督人が
必要ですか。-
信託では、財産を預ける人「委託者」と預けられた財産を管理・運用する「受託者」、そして預けられた財産から生じる利益を得る人「受益者」の3者が登場します。そして信託すると、委託者の財産の所有権は受託者に移転し、受託者が信託された財産の所有者となります。
信託監督人は、この制度の中で、受益者が年少者や高齢者、知的障碍者であるような、受益者自身が受託者の信託事務を十分に監督することが難しい場合に、受益者にかわって受託者を監督します。万が一、受託者にふさわしくない行為があって受益者の権利が損なわれるような事態があっても、信託監督人により対応できるというわけ
です。
信託監督人は、信託行為において指定する方法、または利害関係人の申立を受けて裁判所により選任される方法により定まります。ただし、①未成年者、②成年被後見人、③被保佐人、④当該信託の受託者は、信託監督人になることが
できません。
尚、信託監督人は、必ずしも設定する必要はありません。一般的に、受益者が有する受託者に対する監督権限を十分に発揮できる場合においては設定されません。
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特別受益と寄与分について教えてください。
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遺産分割は、遺言書に相続分の指定がある場合はその指定相続分で、また遺言書がなく、相続人による別段の合意もない場合は法定相続分で行うのが原則です。しかし、亡くなった人から生前中に特別に贈与を受けた場合や、逆に被相続人の事業に関する労務提供をするなどして貢献した場合を考えると、それでは不公平になる場合があります。このような場合に、その不公平な状態を是正し、考慮した相続分を算定するために「特別受益」や「寄与分」の制度があります。
「特別受益」
共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻、若しくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価値にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、法定相続分、又は指定相続分の規定によって算出した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもって、その相続分とする制度です。尚、特別受益においては、贈与の時期に関わりなく控除の対象となります。
<具体的な相続額の計算方法>
特別受益者の相続額=(相続開始時の財産価格+贈与の価格)×相続分―遺贈または贈与の価格
「寄与分」
共同相続人の中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額からその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、法定相続分、又は指定相続分により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその相続分とする制度です。
<具体的相続額の計算方法>
寄与者の相続額=(相続開始時の財産価格―寄与分の価格)×相続分+寄与分の価格
尚、これまでは、相続人以外の者(子の配偶者など)の貢献は寄与分制度の対象とはなりませんでしたが、2019年7月1日施行の特別寄与料制度の新設により、被相続人の相続人でない親族(特別寄与者)が、無償で療養看護などの労務提供をして被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をした場合、相続の開始後、相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求できることになりました。
親族とは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいい、子の配偶者(1親等の姻族)、先順位の相続人がいる場合の兄弟姉妹(2親等の血族)、被相続人の配偶者の連れ子(1親等の姻族)などは、この制度の対象となりますが、法律婚を前提としていることから、被相続人の内縁の配偶者やその連れ子は対象となりません。また、貢献の内容は「無償での労務提供」に限定されており、寄与分制度で認められる「被相続人の事業に関する財産上の給付」は対象になりません。
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親が亡くなったら、預貯金の引き落としはできないのですか?
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預貯金については、2016年12月の最高裁の判決により「相続された預貯金は遺産分割の対象となり、遺産分割が終了するまでの間は、相続人全員の同意がない限り、相続人単独での払戻しは原則できない」とされました。これにより、相続債務の弁済や相続人の生活費、被相続人の葬儀費用など、緊急の払出しが困難となっていました。
しかしながら、上記のような事情を考慮して2019年7月1日の相続法改正により、「相続された預貯金について、相続人全員の同意が無くても、遺産分割協議前に払戻し(仮払い)が受けられる制度」が新設され、次の二つの手続きによって預貯金の払戻しができるようになりました。
(a)家庭裁判所の手続き(保全処分)を利用する方法
(b)裁判所外での相続人単独での払戻しを
認める方法
(a)の方法は、仮払いの必要性があると認められる場合、他の共同相続人の利益を害さない限り、家庭裁判所の判断で仮払いが認められます。家庭裁判所に遺産分割の審判の調停を申し立てたうえで、預貯金の仮払いの申立てをする必要があり、(b)と比較するとコストや時間がかかるというデメリットがあります。他方で、引き出し額に上限は設けられていないため、(b)の上限を超える金額の払戻しが必要になる場合には適していると
いえます。
(b)の方法は、相続人が金融機関の窓口で直接払戻しを求める方法です。仮払いの必要性も要求されず、裁判手続きも不要なため、(a)に比べて簡便ですが、他方で、仮払いの金額に上限が設けられており、葬儀費用などの緊急性の高い費用を払い戻す際に有効です。尚、仮払いの上限額は次の式で計算し、仮払いを受けた場合は、その金額分を遺産分割の際に具体的な相続額から差し引かれます。また、金融機関が複数あれば、それぞれ引き出すことができます。
「相続開始時の預貯金債権の額(口座基準)×3分の1×(仮払いを求める相続人の)法定相続分」且つ「債務者(金融機関)ごと(複数の口座がある場合は合算)に
150万円まで」
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法定相続について、養子がいた場合の扱いはどうなりますか。
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養子は、実の親子関係を残しつつ、他の方の子になる「普通養子」と、実の両親とは戸籍上親子関係がなくなる「特別養子」の2種類があります。
相続法では、「普通養子」も「特別養子」も実の子と同じように血族として扱うこととされています。そのため、養親が亡くなったときには養子は法定相続人となり、実の子と同じ法定相続分に基づいて財産を相続することになります。
相続税の計算をする場合においては、①相続税の基礎控除額、②生命保険金の非課税限度額、③死亡退職金の非課税限度額、④相続税の総額の計算の4項目については法定相続人の数を基に計算しますが、これらを計算する際の法定相続人の数に含める被相続人の養子の数は、次のとおり一定数に制限されています。
(a)被相続人に実の子がいる場合・・・1人まで
(b)被相続人に実の子がいない場合・・・2人まで
但し、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、上記(a)又は(b)の養子の数に含めることが
できません。
尚、次の(ⅰ)~(ⅳ)に当てはまる養子は、実子として取り扱われるので、上記の人数制限から外れ、全て法定相続人の数に含めることができます。
(ⅰ)被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
(ⅱ)被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となっている人
(ⅲ)被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
(ⅳ)被相続人の実の子、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子などに代わって相続人となった直系卑属
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負担付贈与とは何ですか?
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負担付贈与とは、受領者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。個人から負担付贈与を受けた場合、贈与税は、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになります。
負担付贈与も贈与の一種ですが、贈与された財産が土地や借地権、また家屋や構築物の場合は贈与税を計算する際の評価額が異なります。通常の贈与においては、土地や借地権は路線価方式で評価し、建物や構築物は固定資産税評価額と同じ価額となります。一方、負担付贈与では、土地、借地権、建物、構築物において、その贈与のときにおける通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した価額となります。
また、贈与された財産が上記の財産以外のものである場合は、その財産の相続税評価額から負担額を控除した価額となります。
尚、負担付贈与があった場合は、その負担額が第三者の利益に帰すときは、その第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになり贈与税が
発生します。
具体的な負担付贈与の計算方法は
下記のとおりです。
Ex.)父から時価1,500万円の土地の贈与を受ける代わりに、父の銀行借入金1,000万円を負担することにした場合の贈与税の課税はどうなるか?
⇒課税時期(贈与を受けた時)における通常の取引価額1,500万円―負担額1,000万円
=500万円・・・贈与税の課税対象価額となる。
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二世帯同居をしていた際の小規模宅地等の特例制度の適用について教えてください。
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小規模宅地等の特例制度の対象となる宅地は、①特定居住用宅地等 ②特定事業用宅地等 ③特定同族会社事業用宅地等 ④貸付事業用宅地等の4種類でそれぞれ適用面積と減税率が定められています。
そのうち、一般の住宅用の宅地が対象となるのが、①の「特定居住用宅地等」です。被相続人が居住していた宅地等を相続や遺贈により取得した被相続人の親族が、相続開始時にその宅地等の上にある被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた者であり、相続税の申告期限までその宅地等を有し、且つ、その家屋に居住している場合は、その宅地等は特定居住用宅地等に該当し、相続税の課税価格の計算上、その宅地等のうち330㎡(平成27年以降の相続等により取得したもの)までの評価額の80%相当額が
減額されます。
被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族として特例適用される要件として、平成25年税制改正前の取扱いでは、住宅内部で被相続人とその親族(子)が行き来できる状態にあったことが要件となっていましたが、改正により完全分離型の二世帯住宅に居住していた場合においても特例が認められるようになりました。一棟の建物の中で居住していたときは、その建物の構造に関わらず、その親族(子)が居住していた部分の敷地に対応する部分も、被相続人の居住していた宅地に含まれるということです。
ただし、上記のような場合であっても、一棟の建物が区分所有建物である場合は特例の対象外となります。
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金融機関に債務が残っているアパートを相続放棄する際の手続きと流れについて教えてください。
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推定相続人が相続放棄をするには、家庭裁判所へ相続放棄の申述が必要です。家庭裁判所に受理されると、その方は最初から相続人では無かったことになります。
推定相続人全員が相続放棄し相続人不存在となる場合は、利害関係人の申立てにより家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、相続財産管理人が債権者や受遺者への支払いをしたり、特別縁故者に相続財産を分与するための手続きを行います。
財産が残った場合は、残余財産は国庫に引き継がれ最終的に国が管理していくことになります。
債務が残っているアパートの相続放棄をする場合も手続きは同様です。その債務は他の相続人が相続することになります。推定相続人全員が相続放棄をし、相続人不存在となる場合は、利害関係人の申立てにより家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。債権者(金融機関)は、利害関係人として相続財産管理人の選任申立てをした上で、相続財産管理人が選任された後に相続財産法人を所有者として競売申立ての手続きをとります。
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両親が離婚し親権者の死亡により相続が発生した際、未成年の子が相続放棄する場合の手続きについて教えください。
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原則、未成年者は自ら法律行為を行うことが出来ません。その為、未成年者が相続放棄をする場合、法定代理人(親権者や未成年後見人)が代理し手続きをする必要があります。
両親が離婚し親権者の死亡により相続が発生した場合で、相続人である未成年者の子が相続放棄をする場合は、親権者の死亡により親権者がいなくなったものとして、未成年後見人を選任しなければなりません。親権者が遺言で指定していれば、基本的にその者が選任され、指定がなければ家庭裁判所が選任することに
なります。
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住宅を建てる際に親からの資金援助を受ける予定です。住宅ローン減税との併用の仕組みについて教えてください。
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住宅購入資金援助を親から受ける場合、「住宅取得等資金贈与の非課税特例」の制度を使って贈与税を控除することが出来ます。この制度は、2021年12月31日までの期間中に、贈与を受ける年の1月1日時点において20歳以上の者がその直系尊属である者(父母や祖父母)から受ける自らの居住用家屋の取得に充てるための金銭の贈与についてある一定の金額まで贈与税が課されないというものです。ただし、受贈者の贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下でなければ適用を受けることが出来ません。また、住宅の新築(取得)の契約締結の時期と住宅の性能によって非課税限度額が定められています。
この非課税制度と、住宅ローンを借り入れて住宅取得する場合に取得者の金利負担の軽減を図る「住宅ローン減税制度」は併用することが出来ますが、住宅ローンの税額控除の適用対象は、①住宅ローンの年末残高、②住宅等の購入価額から住宅取得等資金贈与の非課税制度の適用を受けた援助額を控除した価額、のいずれか低い方の金額となります。
Ex.)Aさんが2019年11月に下記条件で父から贈与を受け住宅を購入した場合。
・住宅購入額:5,000万円(住宅は質の高い住宅)
・土地の購入価額:2,000万円
・住宅取得等資金贈与の非課税制度の適用を受けた受贈額:3,000万円
・住宅ローンの年末残高:4,500万円
住宅ローンの税額控除の適用対象は、
① 住宅ローンの年末残高:4,500万円
② 7,000万円―3,000万円=4,000万円
より、①>②で4,000万円となる。
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